堺駅前の立ち飲み屋でもトップクラスの歴史を持つ店。
店主さんは、堺で八百屋、スーパー、喫茶店と営んできて、縁あって先代の店主から『庄八』を引き継ぐことに。現在77歳、「堺駅で一番詳しいのは僕ちゃうか。古株になってしもた」と笑う。
飲み屋を始める前も今も、変わらず飲み歩くのが好きで、天満や福島など、大阪のほかのエリアにも精通しているそうだ。「よそにいって、これやなっていうのはみんな自分でも作るでしょ」と、おもてには「隣の盗作料理の店」とシャレの効いた張り紙が。
オススメは、「ガッチョ」と呼ばれる泉州の白身魚を揚げた「ガッチョの唐揚げ」と「鯖のきずし」。鯖の美味しさは、ほかの店では食べられないというほど自信あり。さらに、常連さんが必ず頼むのはお造りで、切り盛りの価格は500円と、まさに安くて美味い一品だ。
いつでもお客さんで賑わい、外まで笑い声が聞こえるほどというこの店。笑い声に誘われて暖簾をくぐると、実は一番大きな声で笑っているのは店主さん自身だとか。多くの人は、カウンターで店主と喋るのを楽しみに訪れるようで、「みんな僕にいじめられて喜んでる」と、そんな距離の近さがこの店の魅力だろう。「お客さんは年配の人が多いなぁ。若い人はついてこれへんかも。うるさいって言われるわ」と、また豪快に笑うが、実際は女性のひとり客も多いのだとか。
長年、この町を見守ってきたことから、「僕が好きやねんって自慢できる町やから、ええ店ばっかり入ってほしい」と、まちづくりの陰のアドバイザー的一面も。
店の今後について聞いてみると、「今のままやっていきたい。やってよかったなぁって自分自身大満足。ええ商売させてもらったなぁって幸せです」と、これまでの歴史を振り返るように話してくれた。
堺駅前の重鎮が迎え入れてくれる立ち飲み屋、ぜひ気軽に訪れてほしい。