暖簾に「立ち呑処」とあるが椅子があり、「串カツ」と書いてあるが焼肉屋。
足を踏み入れた瞬間から2つも裏切りがあるわけだが、小さな店内は居心地が良く、焼肉はリーズナブルで美味しく大満足。
店主の堤宗弘さんは、焼肉チェーン店で30年ほど勤務していた経験を持ち、2011年に自分の店をオープン。周りに立ち飲み屋が多かったことや、自身がおでん屋や串カツ屋によく行っていたことから、最初はいろいろなものを出していたそうだが、今は焼肉のみ。
「串カツはよそ行った方が種類も多いから辞めたんです。やってないんですって言ったら『書いてあるがな!』って言われるお客さんもいるけど、そこから会話にもなりますし」と、あっさりと経緯について話す堤さん。
「まずはこれを頼んでから追加っていう人が多いです」
と紹介されたのは、圧倒的一番人気の「焼肉セット」。ハラミ・鶏モモ・白菜キムチ・生ビールor酎ハイで1,200円という破格のメニューだ。お酒はハイボールを選ぶこともでき、白菜キムチは手作りポテトサラダに変更OKという柔軟な対応も嬉しい。このポテトサラダがまた人気で、2個3個と追加で食べるお客さんもいるのだとか。
値段を抑えて提供できる理由は、人脈がなせる仕入れと、仕込みから提供まで店主ひとりでまかなっていることから。丁寧に肉の処理をし、オーダーが入ってから切るというこだわりで、「美味い・安い」を実現している。
帰宅前に職場との切り替えをしたいサラリーマンから、女性ひとり客まで、お客さんがそれぞれ楽しむ雰囲気を壊さないようにと心遣いをする堤さん。8坪ほどの店内は、しっかりと店主の目が行き届いており、ほどよい距離感の接客がありがたい。
「肉は高くすれば美味しいのはなんぼでもできるけど、この価格で喜んでもらえるものを出したい」というこだわりを守る焼肉店、ぜひ一度訪れてみてほしい。