お店紹介

ガラスの玉屋、伝統工芸品製作・販売

和泉蜻蛉玉専門店 山月工房 堺東店

1000年以上の歴史を持つ「和泉蜻蛉玉」を未来に繋げる工房

伝統的な泉州地方独自の技法で製造したガラス玉「和泉蜻蛉玉」の製造・販売工房。
現在の堺付近である旧・和泉国では古くからガラス玉が作られ「泉州玉」「さかとんぼ」と呼ばれていたという。
その技術を受け継いだ手作りのガラス玉「和泉蜻蛉玉」は、大阪府知事指定の伝統工芸品としても認められている。
和泉蜻蛉玉の特徴は、伝統に特化した製法とガラス材料。材料には国宝復元材料を再生した貴重なガラスを使用している。
束ねたガラス棒を一度にたくさん溶かして針金にガラス玉を作る製法で、工芸品であり“産業”であるということがベースにあるため、同じ品質のものをいくつも生み出せる技術というのも重要なのだとか。
手を止めずに一定のテンポで進めることで、ガラスにひずみが生じず、色味も美しく安定する。
経験と集中力を要する仕事だが、そうしてつくられた玉はどれも日本古来の奥ゆかしい存在感を放っている。

伝統的な技術を受け継ぎながら、ガラスの研究や伝統工芸の魅力の発信をされているのは「和泉蜻蛉玉伝統工芸士」である松田有利子さん。
泉州地方独自の技法を用いる最後の専業職人だった父の背中を見て育ち、20代のころに憧れの父と同じ道に進むことを決意したという。
「父の仕事を見ていると、玉たちが陽の光に反射してみんな笑ってるように見えてきたんです。そんなすごいものを生み出すお父ちゃんってかっこいい。私も大きくなったらこれを作りたいって、物心ついたことから思ってました」と松田さん。
大変な仕事であることは承知していたが、日本の文化として残したいという思いもあり、跡を継ぐことを申し出たという。

古くは仏像の飾りに始まり、江戸時代にはかんざしや帯留めなどに使われたという和泉国のガラス玉は、控えめながら華やかな美しさがある。
また、さまざまな技法や文様から成る形はさまざまで、それらを組み合わせることで、身につける人の魅力をより一層引き出す逸品が生まれる。

工房では、和泉蜻蛉玉を使ったかんざしや根付のほか、ブレスレットやネックレスなど普段着に取り入れやすい商品も販売。
また、ワークショップも数多く開催し、体験では松田さん自身が講師を務め、国内外の来訪者にとんぼ玉の魅力と文化を伝えている。
訪れる人は子どもから大人まで幅広く、伝統産業に触れる貴重な機会となっている。
現在、和泉蜻蛉玉は寺院の復元や、祇園祭の山鉾の修繕にも使われており、その技術は文化財の保全に活かされている。
「大切にしているのは父が持っていた内側からの美しさ。
身につけた人の気持ちが上向きになるように、思いを込めて作っています」と話す松田さん。
唯一無二のきらめきをぜひ一度手に取ってみてほしい。

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