昭和44年4月創業、老舗らしい豊富な品揃えと、長年この世界に携わる店主の目利きが魅力の茶道具の店。
店内に入ると、どこに目を向けても茶器、茶器、茶器……壁一面に並べられた立派な設えの茶器の数々。その中央にちょこんと座っているのは、ここのご主人である岩間さんご夫婦だ。
岩間さんがこのお店を継いだきっかけは、古道具屋を営んでいたお父さんが息子にもお店を持たせようと、ここを見つけてきたとのこと。以前の店主の方は岩間さんと同郷で、その縁も感じて商品ごとこのお店を引き継ぐことにしたそうだ。
最初は全くお茶のこともわからなかったので、習いにいったり、元々のお店のお客さんに教わったりして徐々にお茶の楽しみを知ったという。
注文は主に店頭に来てもらいその場で選ぶか、電話での注文も受け付けている。
ヒアリングにより、お客さんの好みを把握し「この人はこういうのが好きだろう」と、その人に合った茶器を選定するため信頼も厚い。
お得意様や茶花道の先生方には、岩間さん自らお客さんの自宅まで茶道具を持っていくことも。
電話で手軽に注文もできるが「店舗のメリットはやっぱり対面で話ができるからいい」と岩間さん。
お客さんの中には1時間ほどお喋りをしていく人もいるそうで、時には奥さんも店に出てきて「2人でいる時は喧嘩になっている」と笑いながらこぼす岩間さん。
お客さんも思わず「仲がいいなぁ」と呟いてしまうほどの、ご夫婦の雰囲気の良さも魅力。
ショーケースの中には岩間園オリジナルの茶器も並んでいる。「堺灯台」と「南蛮人形」柄の茶器で、岩間さんが絵柄を決めて、イラストレーターの方に依頼した特注品。シンプルな色ながら独創的な絵柄の「堺灯台」と、カラフルな色使いと可愛らしい絵柄の「南蛮人形」。堺観光コンベンション協会にも認定されていて、粋なお土産にも地元愛のアピールにもぴったりだ。
お客さんの中には千葉や鹿児島、四国など遠方から尋ねる方もいるそう。なかなか地元には茶器屋さんがないという理由もあるそうだが、岩間園の茶器や茶道具は「安くて質の良いものが多い」とお客さんからの人気も高い。「今までのお客さんも大事だが、もっと他府県から新しい人も来てくれると嬉しい」と岩間さん。遠方に住むお客さんには、茶器のパンフレットがあるので、それを見て選んでもらうなどの工夫もしているそう。
「お茶を一度も習ったことがないけど興味がある」という人も、岩間さんご夫婦が相談に乗ってくれ、茶道具もこのお店で一式揃うので、ぜひ一度訪れてみてはどうだろうか。