
平成7年から飲み屋として店を構える虎屋。
もともとは「とらや 洋装店」の名で、昭和37年創業の洋裁店を営んでいたのだそう。
今の形態になったのは、初代にあたる店主の父親が、堺の町のなりゆきを見て「これから流行るのは商店ではなく、飲み屋だ」と先見の明で商いを路線変更したからだそう。
その結果、今ではお客さんで賑わう親しみのある飲み屋となっている。
人気メニューは季節問わず食べられる虎屋名物のおでん。
一番出汁でとった出汁を継ぎ足して毎日仕込んでいる。年中やっている理由は、たくさんのお客さんが来店してもすぐに提供できるからだそう。
卵、だいこん、ちくわなどの定番おでんがカウンターの奥に常時10品ずらりと並ぶ。
さらに、店主のオススメは牛すじをトロトロになるまで煮込んで作るカレーライス。これは、洋食好きな店主自らが考案したもので、牛の旨味が溶け込んだカレーはランチにも酒のアテにもなる逸品。
他にも70種類の一品料理が並び、どのアテを頼もうかメニューを眺めて悩む時間も楽しい。
営業時間は飲み屋としては珍しく、朝9時半から。
堺は工場が多く、夜勤を終えた人がフラッと帰りに立ち寄れるようにこの時間から開いているそうだ。
ランチ利用のお客さんも多く、昼休憩に来たサラリーマンや、友人同士で楽しむ人、カップルなどさまざまな年齢層が肩を並べていた。
バイトは雇わず、親子2人で切り盛りしているという店主の岡下さん。
お客さんに手際よく提供するために、メニュー選びやカウンターの導線など徹底してスピード感を重視していた。
それがよく現れていたのが伝票。
もとから値段が書かれているところに品数をチェックしていくという方法なので、スムーズに出票を記入することができるそうだ。
調理風景が見える年季の入ったコの字型のカウンターで、料理が運ばれるまでのひとときも味わって。