











昭和31年からこの場所で営業を続ける割烹料理店。創業は昭和23年頃までさかのぼり、堺でも歴史ある一軒だ。
店主の林栄三郎さんは、16歳からこの店で働いて50年以上。
中学卒業後に調理学校に通い、かつては船上の調理人を志していたこともあったという。
先代のもとで修行を重ね、この店の味と暖簾を受け継いだ。
印象に残る「蛸壺」という店名は先代が名づけたもので、今では地域にすっかり馴染んでいる。
看板メニューは「茄子田楽」と「生だこ」。
田楽は玉味噌を手づくりし、ひと工夫を加えた一品。
夏は加茂茄子や丸茄子、そのほかの季節は米茄子を使うなど、旬に合わせて素材を選ぶ。
生だこは吸盤まで丁寧に処理し、皮を剥いて真っ白な状態に仕上げて刺身に。
梅肉でさっぱりと味わうスタイルで、「これを食べさせたい」と常連客が知人を連れてくることもあるという、蛸壺の名物料理だ。
魚は長年付き合いのある信頼できる仕入れ先から。水槽にはオコゼやフグ、すっぽんが泳いでいて、注文が入ればその場で仕上げてくれる。
猪鍋やすっぽん鍋は通年提供していて、すっぽん鍋は1人前3,500円とリーズナブルで人気だ。会席は8~9品を基本に、季節の食材を取り入れた構成。
秋冬はフグやクエ、あんこうなどの鍋料理が充実している。
日本酒は常時25~30種類を用意。黒龍や磯自慢などの銘柄も揃えるが、実は店主自身はお酒を飲まないそう。
お客さんの好みやおすすめを聞いてこの品揃えになったというから、常連さんとお店の信頼関係も伺い知れる。
店内はカウンター席と2階席を備えた、落ち着いた空間。
敷居が高そうなイメージを持たれがちだが、予算に応じたコース提案や宴会での飲み放題にも対応し、個室や椅子席も用意している。
長年通う常連さんはもちろん、最近はイベントをきっかけに若い世代や女性のお客さんも増えているそうだ。
肩肘張らずに楽しめる雰囲気で、新鮮な魚や丁寧に仕上げられた料理を是非味わって欲しい。