1937年創業、初代が九州で始めて堺に移って50年ほど。町の変化とともに引き継がれてきた写真館の3代目、吉居充典さん・いづみさんご夫妻にお話をうかがった。
創業者の孫であるいづみさんが、写真を始めたのは17歳のころ。高校に通いながら、写真の修整やカット、フィルムの装填などの仕事をしていたという。当時はデジタルではなく、フィルム写真のみ。技術の習得のためにたくさんの勉強が必要だったとか。
一方、夫の充典さんの以前の仕事はスキューバダイビングのインストラクターと、看板屋さん。10代の頃から写真の仕事をしてきたいづみさんとは違い、30歳からこの世界に入ったという。その苦労を聞くと、「インストラクターの喋りで接客ができるし、看板屋でミリ単位の仕事をしてたから、写真屋にぴったりやったんちゃいます?」と2人で笑う。明るい雰囲気の2人は、息ぴったり。撮影も阿吽の呼吸で進めていく。
写真館を継ぐ前は、ホテルでの結婚式や斎場での撮影をやってきたという、いづみさん。
「結婚式もお葬式もやってきたことで、記念日を残すありがたさが改めてわかった。やっぱり幸せな記念日の写真を撮りたいなって思いました」と話してくれた。
いづみさんのやりたいことが定まり、スタジオを継ぐことになった吉居さん夫婦。2人が大切にしていることは「人との繋がり」だという。
「プロなので、綺麗に撮れて当たり前。当たり前の上を行くなら、人と人の繋がりしかないじゃないですか。その時だけで終わらずに、繋がっていくには。商売を突き詰めていくと、人との繋がり。そこに人がいることが価値。それは価格じゃない。」と充典さん。
細やかな接客の結果、成人式や結婚式で写真を撮った人が、また次の節目の時に撮影しに来てくれたり、子供や孫が生まれた時にお宮参りで依頼してくれたりするなど、世代を超えた信頼に繋がっている。
一般的なスタジオ撮影以外にも、商品撮影やペット写真、古い写真を綺麗にする修復サービスなども人気。今後はカメラマンがガイドをしながら写真を撮る「フォト観光ツアー」なども考え中だとか。
「絶対いい表情を撮るのでうちに任せてください!」と自信を持って話す吉居さんたち。
ぜひ一度、利用してみてほしい。