約35年前から山之口商店街にお店を構える青果店。
もとは、開口神社境内の市場「大寺マーケット」で青果の販売をしていたが、市場がなくなることに伴って商店街に移ってきたという。
お話をうかがったのは、祖父の代からお店を継いできたという萩尾さん。
学校卒業後、最初の2年はこのお店で働き、それから5年ほど大阪府外のスーパーマーケットチェーンに勤めていたという。
こちらに戻ってからは、そこで学んだノウハウや知見を活かしながら、代表である父親と一緒にこちらを切り盛りしている。
お客さんは周りに住む人たちが多いが、飲食店の方が仕入れにくることも。
日本料理屋さんから、その店ならではの野菜の注文を受けるなど、お店からは細かい相談も受けているそうで、その信頼は厚い。
毎週木曜は特売の日で、野菜の量もお客さんの数もとても多い。
特に賑わっている日には、お客さんがぐるっと列をなして商店街の外にまで溢れていたというから、その人気っぷりはすごいものだ。
萩尾さんのお店づくりのこだわりは、最初から安いものを仕入れるのではなく、良いものを仕入れて安く販売する工夫。
例えば、不揃いな野菜を箱で仕入れた時は、小さいものが欲しい人用に小さいセットを作り、大きいものが欲しい人用に大きいセットを作り、ニーズに合わせてかつ安価で提供できるようにしているそう。
今後の目標をうかがうと「店を大きくするとか、これ以上の成長は望まない」という萩尾さん。
その理由は、各家庭に毎日の野菜を提供する仕事なだけあって、自分も1日でもご飯を食べていけたら、という姿勢だという。
「安い安い言うて、喜んで買ってもらうのが一番ちゃいますか」と、あっさりとした口調ながら真摯な気持ちがこもった言葉を聞かせてくれた。
毎週木曜の特売狙いもよし、日々のお買い物で訪れるもよし。ぜひ、一度足を運んでみてほしい。