50年以上前にレコード屋さんから始まったというジャズ喫茶。
素通りできない外観で、中に入るとCDとカセットテープが陳列棚にずらり。
そんな個性的なお店のマスターは、もっと個性的だ。
お父さんとお兄さんがされていたお店を引き継いだという現在のマスター。
もとはレコード屋の店内でコーヒーをサービスしていたそう。
もともとコーヒー好きで、徐々に専門的な勉強をして、コーヒーをメインに提供するようになったという。
コーヒーはこだわりをもって揃えているそうで、一押しはバターコーヒー。
「なにか個性がないとお店はやっていけない」と探していたところ紹介してもらったそうで、現在は看板メニューになっている。
独特の甘い香りが漂いながらも、飲んでみるとあっさり飲みやすい。一度飲むと、お気に入りになるお客さんがほとんどらしく、お店の大人気メニューだ。
提供しているお店は珍しいそうで、特に女性からの人気が高いそう。
また、普通ではこの値段で提供できないというブルーマウンテンも、この店ならではの味わいだ。
「お客さんに良い音で音楽を楽しんでもらいたい」という思いから、店内の音響にもこだわりが。
プロのアドバイスを受けて改良を重ねてきたというアンプとJBLのスピーカーからジャズが流れていて、店主こだわりの「ゆっくりできる空間」の演出がなされている。
また、店内は喫煙OK。
現在はタバコを吸えるお店が少ないこともあり「吸えるのはウチだけやで!」という気持ちからなのだとか。
ちなみに、店主ご自身は吸わないそう。
レコード屋時代には、スナックに演歌のレコードを売り歩いていたというマスター。
そんなマスターのトークは面白く、独特の空間の居心地の良さは、ほかにはない。
テーブル上に置かれた「なんでもかいてね帳」には、このお店を愛する多くのお客さんからの手書きメッセージが溢れている。
超個性的なマスターがテレビに取り上げられた回数は数知れず。
「隣の人間国宝」にも認定されていて、円広志さんだけではなく葉加瀬太郎さん、にしきのあきらさんも取材に来たことがあるそう。
マスターのお気に入りの言葉は、「行きに寄ろうか、帰りに寄ろうか。ならば行きにも帰りにも」
その言葉の通り、気軽に立ち寄ってゆっくりと雰囲気を味わいたい一軒だ。