堺東駅すぐに店を構える時計・宝石等の貴金属販売の老舗。
創業70余年、家族3代に渡り営まれており、店頭に掲げられた看板がその歴史を物語っている。
「うちは前回開催の東京五輪の時からあったんですよ」と店内に飾られる白黒写真を紹介してくれたのは、3代目の奥元裕典さん。
もともと奥元さんの祖父が、時計修理を行う職人をしていたのが、この店のオープンのきっかけだ。現在では、時計・宝石・眼鏡・アクセサリーなど貴金属の販売の他、修理も請け負う。
修理と聞くと時計を思い浮かべる人も多いが、時計だけでなく宝石類の修理も行ってくれる。店に立つ奥元さんの叔父にあたる道幸豊三さんも、宝石や時計の修理を行う職人で、東京で研修をして技術の腕を磨いたそうだ。
カウンターの上には、職人御用達の修理道具の数々が。「使うと短くなるんです」と道幸さんが見せてくれたのは、金属を研磨する道具。小さくなっているのは、それだけ使い込まれている証拠だとか。
先が丸くなるたびに研ぎ、鋭くして精度を上げる必要があるそうだ。
店に並ぶ商品はすべて奥元さんのセレクト。今の流行りなどを見定めて、さまざまな卸の店で買い付け、仕入れを行っている。
店頭に並んでいなくても「こんなのが欲しい」と希望のイメージを伝えて発注できるのも魅力。
また、「おばあちゃんから貰ったものを今風のデザインにしたい」などのリメイクのオーダーもOK。
靴と同じように、その人に合わせたサイズのオーダーも請け負っており、同じ指輪でもサイズ違いを発注できるなど専門店ならではの利点も。
そんな町の宝石店は親子代々に渡り愛されており、昔スズヤで宝石を買ったお客さんがお子さんと一緒に来ることもあるそうだ。
スズヤで代々受け継いできた思いは「お店に来たお客様が大切、お客様第一」ということ。
店に来てくれたお客さん一人一人の相談に親身に乗るからこそ、親子代々で来店されるような、町の人に愛される店になったという。
「商店街は個人のお店が多く、いろんな味があるので、それを楽しんでもらえたら」と奥元さん。
「敷居が高いと思われている方がいらっしゃいますが、修理含めていろんな相談をしに来てほしいと思います。
雑談だけでも気軽に来店を!」と話してくれた。