昔ながらのレンガ作りの外観に、窓には趣あるステンドグラス。柱や椅子のひとつひとつにも、創業62年の歴史が感じられる、お好み焼きと鉄板のお店。
後継である由肥秀介さんにお話を伺うと、「元の元は八百屋やって、そのあとにおばあちゃんが美容室、おじいちゃんがお好み焼きを同じ建物でやってたんです。お好み焼きが儲かるから一本化した」と歴史を教えてくれた。
今でも八百屋の時代を知っている常連さんが5人ほどいるというから驚きだ。
一番人気はお好み焼きと付き出しとビールのセットで1080円。圧倒的安さだが、お好み焼きのサイズは通常と変わらない。お昼はお好み焼きにプラス100円でご飯とお味噌汁が付けられ、セットにしなくても食後のアイスコーヒーがサービスされる。昼間は会社員たちの昼食で賑わい、少し時間をずらしてカウンターでビールを楽しむ人に井戸端会議のお母さんたち、とランチタイムだけでもものすごい回転率だ。
注文すると目の前で焼いてもらえるお好み焼きは、この場所で長年愛されてきたというのも納得の美味しさ。「目の前で焼いたら全くごまかしが効かない。常連さんは自分で焼く人もいて、勝手にぺっちゃんこにする人も。でも手を加えられても僕は全然嫌じゃないです」と笑う。
家族で切り盛りしているが、仕事の時はお互い敬語。全員が鉄板を扱うことができて、誰が何の調理担当ということはないという。接客の面でも「常連さんは母親父親の顔を見に来る人も多い。でも、若いお客さんともよく喋るし、逆に僕が年配の人と喋ったり」とのことだった。
小さい頃からお店の3階で遊んでいて、おじいちゃんおばあちゃんっ子だったという由肥さん。
今後はスタイルを守りながらも、有名店とも勝負し、店舗展開も視野に入れているのだとか。
古墳と千利休がデザインされたTシャツに身を包み「堺の広告もぶっとんだやり方すればいいのになぁ。街にも来てもらいたい」と語る、まさに次の世代の担い手だ。
観光で来る家族連れ、地元の若い人、現役を引退した方々、初めての人から常連さんまで隔てなく、老若男女が集う店。ぜひ訪れて、その味を楽しんでもらいたい。